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FEMH病院の建物

亞東記念医院 事例紹介

既存の設備を活用してVPPに参加することで、エネルギーマネージメントを最適化している方法

課題・目標

亞東記念医院は、台湾で高い評価を受けている医療機関であり、その持続可能性への取り組みでも注目を集めています。病院は、医療機関として大量の電力を消費し、台湾の非工業部門では病院の電力使用量が2位にランクされています1)。不安定な電力供給は病院運営の安全性に直結し、電力価格の変動は運営コストにも大きく影響します。医療機関は人々の健康を支えるだけでなく、持続可能な社会のための重要な役割を果たしています。そのため、エネルエックス・台湾との提携以前から、氷蓄熱式空調システムの最適化、手術室の室温の知的制御、公共エリアの人感センサー式照明の導入などの省エネ対策を積極的に実施してきました。

 

亞東記念医院は、持続可能性への長年の取り組みを通じて、台湾企業持続性賞や企業持続性報告書プラチナ賞、台湾サステナブルアクション賞など、多くの名誉ある賞を受賞してきました。副院長の張淑雯氏は、「亞東記念医院は『社会によって、社会のために』という理念を持っています。当院は、医療技術の発展、人材の育成、研究開発の革新を通じて社会的責任を果たすだけでなく、持続可能な経営にも力を入れています」と言います。

エネルエックスの提案したソリューション

通常、病院は停電時に即座に稼働するジェネレーターなどのバックアップ電源設備を完備しており、患者の生命維持装置や精密機器、薬品を保管する冷蔵庫などが問題なく稼働し続けることを保証しています。これらのバックアップ電源設備はコストがかかると思われがちですが、実は電力リソースとしての潜在能力を秘めています。バーチャルパワープラント(VPP)への参加により、これらの設備はアイドル状態でも機能を提供することができ、電力網の安定性を支える信頼できるバックアップとなりえます。

 

亞東記念医院では、まずエネルエックスの専門チームが現地調査と設備の棚卸しを行いました。そして、慎重な議論をくりかえし重ね、電力取引プラットフォームのアンシラリーサービス市場(デマンドレスポンス)に参加することを決定しました。

冰水主機

デマンドレスポンス(DR)の発動があった場合、エネルエックス・台湾のネットワークオペレーションセンターは台湾電力公司からの指示を受け、直ちに亞東記念医院に電話、テキストメッセージ、Lineメッセージ、および電子メールで通知します。指示を受けた亞東記念医院は、自動切り替えスイッチを使用してエアコン回路を系統から病院のジェネレーターに切り替えます。エアコンはその後、ジェネレーターによって供給される電力で稼働します。このプロセスは30分で完了し、2時間維持された後、電力供給は通常モードに戻り、病院の運営は中断なく続けられます。

 

エネルギー効率の向上と、エネルギー転換による社会への貢献を目指しています。炭素排出量の削減と、台湾の電力網の安定性維持が当院の目標です。」と、張副院長は強調しました。

 

Maintenance and Engineering部門を率いる林俊民部長は、病院のエネルギー管理を担当しており、VPPを利用したDRへの参加はさまざまな関係機関にメリットをもたらすと考えています。「国は発電所建設の削減を図り、電力網の安定性を保つことができます。一方で、病院は優秀な人材を育成し、既存のバックアップ電源設備を有効活用することが可能です。」と言います。

お客様のメリット

亞東記念医院は、2022年8月からエネルエックスのVPPに約1MWの最大供出容量で参加しています。2022年の日本の世帯あたり電力消費量は3,950Wh/年であることから2)、発動に応じて供出した容量は、一般家庭の2年半分の消費電力量に相当します。また、市場に参加してから2023年11月まで7,000時間近い待機時間がありました。
發電機/備援電力設備
VPPに参加してデマンドレスポンスの発動に対応することは、バックアップ電力設備が正常に動作しているかどうかを定期的にチェックする良い機会にもなります。通常、ジェネレーターの定期メンテナンスとテストは無負荷で行われ、実際の負荷をかけるのは年に一度の総合点検時のみです。無負荷テストでは、ジェネレーターの基本的な動作は確認できますが、燃焼が不完全な場合には炭素が析出し、ジェネレーターが正常に負荷に対応できるかを正確に判断することは難しくなります。デマンドレスポンスへ対応することで、電気的負荷のある機器の性能確認を保証することが可能になります。

エネルエックス・台湾のビジネスディベロップメント部長である陳國隆は、過去20年間にわたる様々な業界でのエネルギー管理の経験を踏まえ、「ある企業が無負荷状態でのテストではジェネレーターに問題が見つからなかったにも関わらず、実際の送電網のトラブル時には、深刻な炭素蓄積のためにジェネレーターがスムーズに動作せず、大きな損失を被ったことがありました。これは非常に遺憾な事例であり、私がバックアップ電源設備を持つ需要家にVPPへの参加を推奨する理由のひとつです。」とコメントしています。

 

林氏は、「当院はこの1年で、5回の発動に対応しました。デマンドレスポンスへの発動対応は、当院にとってメンテナンスと修理の保全活動でもあり、電力システムをより安全にする機会でもあります。エネルエックスとの協力プロセスも非常にスムーズでした。医療業界の方にはこのような有意義な活動に参加することを強くお勧めします。」と言います。

林氏の顔写真
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「デマンドレスポンスへの発動対応は、当院にとってメンテナンスと修理の保全活動でもあり、電力システムをより安全にする機会でもあります。」

林俊民 氏

亞東記念医院、Maintenance and Engineering部、部長

エネルエックスのVPPプログラムに参加することで、病院は既存の資産を最大限に活用し、デマンドレスポンス等の電力市場への参入を実現できるようになります。これにより、より安全な医療環境の提供を可能にするだけでなく、送電網の安定化に貢献し、エネルギーの持続可能な転換を促進し、サーキュラーエコノミーの実現に向けた一歩を踏み出します。

 

「当社の使命は、需要家の皆さまがご自身の資産を有効活用し、持続可能かつ収益性の高い方法で環境目標を達成するお手伝いをすることです。病院や商業施設は、デマンドレスポンスでの待機時間を収益化することが可能です。」とエネルエックス・台湾の陳は言います。エネルエックスの包括的なサポートにより、需要家の皆さまの電力市場への参加を容易にし、自社のコアビジネスに集中できるようになります。初期の現地調査からカスタマイズされたエネルギープランの策定、稼働開始までの各申請プロセスにおいて、エネルエックスの専門家が皆さまをサポートいたします。

 

使命感に満ちた白衣姿の亞東記念医院の張副社長は、「当院がエネルエックスを信頼できるパートナーとしての選択した理由は、エネルエックスが世界最大級のVPP運営企業であること、また、台湾電力公司の電力取引プラットフォームの認定企業であることでした。病院としての我々の主要な使命は、地域社会に奉仕することです。医療とスマートヘルスケアの向上に努めるだけでなく、市民の皆さまと社会にとって最善の行動を取ることが求められます。VPPへの参加により、当院は社会への持続可能性に対するコミットメントとミッションを確実に実現できるようになりました。」と最後に語ってくれました。

張淑雯氏の顔写真
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「バーチャルパワープラントへの参加により、当院は社会の持続可能性に対するコミットメントとミッションを確実に実現することができるようになりました。」

張淑雯 氏

亞東記念医院、副院長

お客様情報

亞東記念医院

亞東記念医院は、1981年に創立した教育病院であり、新北市で唯一の医療センターです。年間130万人以上の外来患者を診療し、救急医療の患者数は1日あたり400人、85%以上を誇る病床占有率は台湾国内で4位にランクされています。

参照

1). Energy Administration, Ministry of Economic Affairs.

Taiwan Green Productivity Foundation (2023). Energy Audit Annual Report for Non-Productive Industries 2023. https://www.ecct.org.tw

 

2). 環境省

令和4年度 家庭部門の CO2排出実態統計調査 結果について(速報値)

注:この事例は、台湾でのエネルエックスと亞東記念医院との契約に基づいています。日本では、エネルエックス・ジャパンがカスタマイズした製品やサービスを日本のお客さまに提供し、電力消費量(料金)の削減、新たな収益源の獲得、カーボンニュートラルに関する目標の達成をサポートしています。詳細については、こちらよりお問い合わせください。